古野電気株式会社(本社:兵庫県西宮市、代表取締役社長執行役員:古野幸男、以下、当社)は、このたび新たに開発した高利得アンテナ※1内蔵の長距離用無線LANシステム(以下、本システム)をトンネル舗装工事現場(総延長1,330m)に導入し、全延長において通信環境の構築に成功しました。なお、本実験は日本道路株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:石井敏行)と共同で実施しました。
実証実験の背景
長距離用無線LANアクセスポイントの特徴
実証実験の内容
本実験は、日本道路株式会社東京支店管轄のトンネル舗装工事現場(総延長1,330m)内で実施し、トンネル片側壁面にアクセスポイントを設置しました。現場は道路舗装前で迂曲しており、奥まで電波が届きにくい環境でしたが、トンネルの出入口と中央付近に3台設置することで、全延長での通信環境の構築に成功しました。
なお、アクセスポイントのうち、親機はLTEルーターと接続してネットワークを構築し、子機は電源のみで動作させました。携帯回線が繋がらないトンネル坑内での無線LAN環境の構築によって、カメラ映像の伝送のほかスマートフォンによるIP電話の利用、オンライン会議ツールなどICT施工のサービスが利用可能となりました。
実証結果の一例(概略平面図)
今後の展開
両社においては、トンネル内の現場における通信環境をさらに整備し、IoT機器によるデジタル化のほか、遠隔臨場を含むICT施工普及による業務効率化・働き方改革を推進して参ります。また、当社では今後もお客様の様々なニーズにお応えできるよう、無線LANシステム「全現場LAN」シリーズなど商品ラインナップの拡充を目指します。
※1 高利得アンテナ…アンテナの特性の一つで長距離アンテナとも呼ばれます。電波の放射方向と強度の関係を指向性といい、指向性が鋭くなると同一方向へ集中し、より遠くまで電波が届きます。このことを利得が高いといいます。
※2 遠隔臨場…公共工事の建設現場において監督・検査作業効率を改善するために、2020年3月に国土交通省より策定された試行要領で、現場に行かなくても離れた場所から臨場を行うことを指します。令和4年4月1日以降の発注および令和4年4月1日時点で遠隔臨場の対象となる工事においては原則、遠隔臨場の適用が必要となります。
※3 メッシュWi-Fi…網目のようにネットワーク機器が繋がりあう通信形態のうち、無線(Wi-Fi)でネットワーク構成したものを指し、広いエリアを手軽に安定して繋ぐことができます。