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ニュース詳細

補正データなしで位置精度50cmを実現するGNSS受信チップを量産開始

2023年11月30日

RTKが苦手とする都市部においても高精度測位を実現

古野電気株式会社(本社:兵庫県西宮市、代表取締役社長執行役員:古野幸男、以下、当社)は、このたび、補正データなしで位置精度50cmの高精度測位を実現するデュアルバンドGNSS※1チップeRideOPUS 9(イーライドオーパス9)「型式:ePV9000B」の量産を開始しました。


(左)デュアルバンドGNSSチップeRideOPUS 9「型式:ePV9000B」の外観、(右)航跡データ

本製品は、走行車両の車線判別が求められるV2X※2や自動運転(レベル2~3)のサービスにおいても、カメラやLiDAR※3、HDマップ※4で最終的な自己位置を決定する際のリファレンスとして活用できる絶対位置情報を提供します。これらサービスの実用化においては、ランニングコストが重要視されます。独自のExtended Carrier Aiding※5技術を活用することで、50cm DRMS※6の高精度測位を実現するとともに、RTK※7基準局や補正データ使用に伴うランニングコスト、補正データの受信部も不要となり、高いコストパフォーマンスでサービスの普及に大きく貢献します。
また、本製品を搭載した多周波GNSSモジュールをアルプスアルパイン株式会社(本社:東京都大田区、代表取締役:泉英男)と共同で開発し、今後同社よりUMSZ6シリーズとして販売予定です。

都市部におけるeRideOPUS 9の高精度測位

本製品は、車速パルスや6軸モーションセンサと融合させた当社独自のDead Reckoning技術※8を改善したことで、RTK受信機が苦手とする都市部においても高精度な位置情報を提供します。


(左上)ビル街の立体イメージと走行ルート、(右上、下)航跡データの比較(eRideOPUS 9と他社製RTK受信機)

eRideOPUS 9の特長

  • デュアルバンド、マルチGNSS

    現在運用されている全ての測位衛星(アメリカ、ロシア、欧州、中国、日本、インド)に対応。これまでのL1帯の信号に加え、新たにL5帯の信号が受信可能になりました。例えばL5帯の信号はL1帯の信号の10倍のチップレートで拡散されるためマルチパスへの耐性が向上します。L5帯の信号を用いることで都市部のような構造物による電波の反射、回折が生じる環境で位置精度が改善します。またL5帯の信号は、周波数幅が広く電波出力も高いためノイズの影響を受けにくく、安定して信号を受信することが可能です。

  • 独自の測位技術で、補正データなしで50cm DRMSの高精度測位を実現し、車線判別が可能に
  • 安定した位置情報を提供する、アンチジャミング、アンチスプーフィングを搭載
  • 車両走行中も複数端末間の高精度な時刻同期を可能にする、タイムパルス出力(1PPS※9

eRideOPUS 9について詳しくは、以下の製品サイトをご参照ください。
https://www.furuno.com/jp/products/gnss-chip/ePV9000B

用語説明

  • ※1 GNSS(Global Navigation Satellite System):全地球衛星測位システム。米国のGPSのほか、GLONASS(露)、Galileo(欧)、及びBeiDou(中)があります。ここではRNSS(Regional Navigation Satellite System)であるQZSS(日)とNavIC(印)も含む。
  • ※2 V2X:クルマとクルマ、クルマと道路設置設備、クルマと人など、クルマと何かをつなぐコネクティッド技術の総称。
  • ※3 LiDAR:近赤外線などのレーザー光を使い、周辺の物標までの距離を計測する測距センサー。
  • ※4 HDマップ:自動運転のために整備された高精度3次元地図。
  • ※5 Extended Carrier Aiding:ノイズの影響を極限まで抑制する技術です。搬送波位相による支援を受け、デュアルバンド化により伝搬遅延の影響を除去することで、大幅なノイズ低減に成功しました。
  • ※6 DRMS(Distance root mean square):二乗平均平方根誤差。
  • ※7 RTK(Real Time Kinematic):搬送波位相を使った相対測位。基準局からのデータをGNSS受信機に送り、観測に含まれる系統的誤差を除去することにより、基準局との相対的な位置を数cm~数mmの精度で求める測位技術。
  • ※8 Dead Reckoning技術:ジャイロセンサーや加速度センサーなど各種センサーからの情報と合わせて演算処理することにより、GNSS受信機にとって過酷とされる環境下でも、高い精度で測位できる技術。
  • ※9 PPS:(Pulse Per Second):衛星測位システムのシステム時刻に同期したパルス信号。
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