海のDX <さらなるスマート化に向けて>
古野電気株式会社
代表取締役 社長執行役員 古野 幸男
新年、明けましておめでとうございます。
昨年の世界経済は、コロナ収束に伴う回復が進む一方で、世界的なインフレの継続、ウクライナ情勢の長期化、中国の不動産市況の悪化など、不透明感が一段と高まりました。日本国内でもインバウンド消費の回復など、明るい材料はあるものの物価高騰の影響もあり、先行きが見えづらい状況が続いています。
このような状況の中、当社は部材調達環境が回復したことを背景に、高い水準に積みあがった受注残の早期解消と納期の正常化に向け増産を推し進めてまいりました。その結果、商船向けを中心に海外での販売が大きく伸び、24年2月期は念願であった1000億円を超える売上が見込まれています。
今年も世界経済は不透明な状況が続くと予想されますが、当社は海のDXをさらに深化させる一年としたいと考えています。
一つ目は船の自動運航です。当社は周囲の状況を把握し、運航時のルートが適正かを判断し、操船制御を自動的に行う技術開発を担っています。さらに機器から得られるデータをAI等で整理・分析して顧客が迅速に判断できるようにし、海難事故ゼロにつなげるべくスマート化を推し進めていきます。
二つ目は漁業のスマート化です。漁業もデジタル技術を活用したDXの推進が、変化を乗り越えるカギになると考えます。漁業者の作業負担を軽減させるとともに、資源の状況把握や資源管理の取組みに対してモニタリングを可能にする漁獲情報のデータ化を推し進めます。
海のDXへの取組みを通じてAIやデータサイエンスの技術を貪欲に取り入れ、その先には産業用分野も含めた顧客満足度の向上に努め、さらなる売上拡大を目指します。
今年も皆様の一層のご指導、ご鞭撻をお願いして、新年の挨拶とさせていただきます。