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ニュース詳細

世界最小・最軽量級の気象レーダー2機種を開発

2013年08月28日

局地気象観測に最適化した気象解析ソリューションを提供

古野電気株式会社(本社:兵庫県西宮市、古野幸男社長)はこのほど、世界最小・最軽量級(二重偏波ドップラ気象レーダーにおける自社調査、2013年6月現在)のXバンド・ドップラ気象レーダー2機種(注1)を開発しました。当社では今後、局地気象予測の研究開発を進めながら、高度防災・減災社会へ貢献する気象解析ソリューション事業を展開してまいります。

ドップラ気象レーダー2機種のレドームアンテナ外観 イメージ
▲左上:ドップラ気象レーダー2機種のレドームアンテナ外観(左:WR-2100、右:WR-50)、右上:高精度3次元観測映像のイメージ(2013年7月6日、兵庫県西宮市西宮浜での観測結果)、下2点:ワンボックス車での運搬やアンテナ取付工事が可能(2013年6月、神戸大学・六甲キャンパスに設置) 「マルチレーダーシステム」で高精度なリアルタイム3次元観測が可能に

◆当社が開発したドップラ気象レーダーは、水平と垂直の偏波を同時に送受信する二重偏波(注2)の小型ドップラ気象レーダー「型式:WR-2100」と、水平の偏波を送受信する単一偏波(注3)の小型ドップラ気象レーダー「型式:WR-50」の2機種です。「WR-2100」は、6秒間隔で360°方向に50m区分の降水強度を探知可能な超高時空間分解能(注4)を有しており、降雨をもたらす積乱雲の鉛直構造を高精度に解析し、雨雲の移動や雨粒の発達状況を観測することができます。

◆この気象レーダーは、主に山頂などに設置される一般的な大型気象レーダーでは探知しにくい高度500~2,000mに発生する雨雲探知を目的としています。都市部のビル屋上などに30km単位でメッシュ状に設置することで、近距離の雨雲に遮られて遠方の雨雲を探知できないブラインド現象を回避するとともに、現状では予測困難なゲリラ豪雨の発生探知と降雨予測の精度向上を目指しています。

◆具体的には、「WR-2100」を3台以上もしくは、「WR-2100」1台と雨雲の水平移動を高速探知する「WR-50」2台をネットワークで組み合わせる「マルチレーダーシステム」として一体運用することで、都市部で近年多発するゲリラ豪雨(局地的短時間集中豪雨)など発生状況をリアルタイムで3次元観測するだけでなく、局地気象予測システムの実用化に向けた産学連携の研究開発(注5)を進めています。

▲従来型の気象レーダーとの違いのイメージ
▲従来型の気象レーダーとの違い

◆当社は、船舶用の総合電子機器メーカーとして、1959年に小型漁船でも搭載可能な船舶用レーダーを開発、従来製品と異なる小型・軽量・低消費電力・低価格という特徴が評価され、漁船や水中翼船などに舶用レーダーが普及する契機となりました。今回開発した気象レーダーも、この特徴を継承しており、Sバンド(レドーム径12.0m)やCバンド(同7m)の大型気象レーダーはもとより、現在一般的なXバンド気象レーダー(同3.5m)に比べて大幅な小型化(「WR-2100」はレドーム径108cm、「WR-50」は同60cm)に成功しました。

◆ワンボックス車の荷室やエレベータを使った運搬移動、クレーン等の重機を必要としない人力での取り付け工事ができるほか、商用電力を使用するため、これまで設置場所や予算の都合で気象レーダーの利用を断念していた地方自治体や研究機関、交通機関、空港、下水道、河川、土木、農業、観光等の領域で、幅広くご活用いただけると期待しております。

◆なお、今回発表した気象レーダーにつきましては、今年10月にベルギー・ブリュッセルで開催される国際展示会「METEOROLOGICAL TECHNOLOGY WORLD EXPO 2013」へ出展し、海外の気象関係者へ広く周知する予定です。

◆仕様の詳細、観測事例等につきましては、下記製品情報サイト(スペシャルサイト)をご参照願います。
http://www.furuno.com/jp/systems/

注1)ドップラ気象レーダー: 降水の位置や強さの他に、風に流される降水粒子から反射される電波のドップラー効果を用いて、レーダーに近づく風速と遠ざかる風速を測定する気象観測用レーダー
注2)二重偏波: 水平偏波と垂直偏波の2種類の電波を同時に送信し、2種類の電波の反射される強度や位相の差から降水強度を求め、雨量を定量的に観測することができるレーダー
注3)単一偏波: 水平偏波を送信し、反射される強度から降水強度を求めることができるレーダー
注4)超高時空間分解能: 短時間に局地的に細かく現象を観測する能力を指す
注5)産学連携の研究開発: 独立行政法人科学技術振興機構の研究成果展開事業「超高時空間分解能を有するリアルタイム降雨予測技術の研究開発」として、京都大学 防災研究所 中北英一教授ならび神戸大学 都市安全研究センター 大石 哲教授と共同開発を実施中

仕様表画像

本機器に関するお問い合わせ先

古野電気株式会社 舶用機器事業部 開発部 システムソリューション課
〒662-8580 兵庫県西宮市芦原町9-52
TEL:0798-63-1201

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